「PDFの容量が大きすぎてアップロードできない」「印刷所に送ろうとしたらメールで弾かれた」

印刷用データを扱っていると、こんなトラブルは少なくありません。

特にPhotoshopやIllustrator、PowerPointなどから書き出すPDFは、設定次第で数百MBになることも。この記事では PDFの容量が大きくなる原因 と、 印刷品質を保ったまま容量を削減する対処方法 を詳しくまとめます。

PDFの容量が大きくなる主な原因

1.  画像解像度が高すぎる（350dpi以上）
   印刷に必要な解像度は基本 300〜350dpi。
   それ以上の解像度で画像を配置していると、不要にデータが重くなります。
2. 不必要に大きい画像サイズをそのまま貼っている
   スマホ写真（4000px以上）や一眼レフのデータを、「縮小表示」だけした状態で配置していると、内部的には巨大なまま扱われます。
   
3. 透明効果が多い（Illustrator / PDF-X4の場合）
   ドロップシャドウ、光彩（外側）、ぼかしなどはPDF内部で複雑な演算をします。
   透明効果を多用すると容量が跳ね上がる原因に。
4. 埋め込みフォントが多い
   通常は軽いのですが、特殊フォントを複数埋め込むと若干増えます。

【対処1】画像解像度を適正値にリサンプルする

Illustratorの場合

• 「リンク」パネル → 使用している画像の PPI を確認
  
• 300〜350dpi以上なら、Photoshopでリサイズして再配置
  （Illustrator上で縮小しても内部データは大きいままです）

Photoshopの場合

• 「イメージ」→「画像解像度」
  
• 350dpiを上限として調整（幅と高さの単位を間違えていないかも注意！）
• 不必要に大きいカンバスサイズも縮小

【対処2】PDF書き出し時の設定を最適化

Illustrator｜PDF/X-1aで書き出す

PDF/X-1aは

• 透明をフラット化
• 色はCMYKに固定
  なので比較的軽い形式です。

設定 → 圧縮タブ

• カラービットマップ：300ppi
• グレースケール：300ppi
• モノクロ：1200ppi

これで十分印刷品質は保てます。

【対処3】巨大画像は縮小して再配置

特に注意が必要なのは、
「スマホ画像をIllustratorに入れて縮小表示しているだけ」のケース。スマホの画像は一眼レフなどに比べて小さいイメージがありますが、4000px以上と意外に大きいです。1~2枚なら問題ありませんが、10枚以上になる場合は、Photoshopで必要なサイズにリサイズして再配置しましょう。

【対処4】透明効果の使いすぎに注意（Illustrator）

透明効果はPDF-X4で特に容量増加の要因に。

ベクターデータがラスタライズされ、 200〜300dpi画像として埋め込まれるためデータ量が膨らみます。

解決ポイント

• 影や光彩は必要最低限に
• 不要な透明オブジェクトは削除
• 「オブジェクト」→「透明部分を分割・統合」で軽量化できる場合あり

【対処5】フォントをアウトライン化しない（逆に重くなる）

「アウトライン化すると軽くなりそう」と思われがちですが逆です。

アウトライン化 → フォントがパスデータになる → データ量増加

印刷所にPDF入稿をする場合、フォント埋め込みのままPDF/X-1aで書き出す のが最も軽量です。

【対処6】不要なアートボード・レイヤーを削除

• 非表示レイヤー
• ゴミのように残ったパーツ
• 印刷しないアートボード

これらが内部データとして残っている場合、容量増加の原因になります。レイヤーの不要部分は削除し、さらに「別名保存」をして内部キャッシュをクリアしましょう。

まとめ｜印刷品質を守るなら「設定の見直し」が最も安全な方法

PDF容量が大きい原因のほとんどは 「画像が大きすぎる」「透明が多い」「書き出し設定が適切でない」 の３つです。

メールで送れない・アップロードできないトラブルを避けるためにも、
制作段階から画像サイズと透明効果に気をつけておくことが大切です。

 

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