PDFは印刷用データとして非常に便利な形式ですが、設定を誤ると印刷所で受け付けてもらえなかったり、エラーとなってしまうことがあります。ここでは、PDFが「入稿できない」原因を分かりやすく整理し、Illustratorなどのデザインソフトで起こる“予期せぬエラー”も含めて解説します。

PDFの容量が異常に大きい

印刷所の入稿システムがPDFを受け付けないとき、最も多い原因が「容量オーバー」です。データ入稿フォームにデータ量の上限が書いてあることが多いので、きちんとチェックしましょう。どうしても重いデータを送りたい時はご連絡ください。
しかし、以下の点をチェックして修正すれば改善できることが多いです。

• 高解像度の画像をそのまま大量に配置している
• PhotoshopのPSDを“レイヤー付き”のまま配置してPDF化
• Illustratorの透明効果（ドロップシャドウ、ぼかし）を多用
• 不要なオブジェクトがアートボード外に残っている

特にIllustratorの透明効果は、内部的に処理が複雑になり、PDF書き出しの負荷を大きくします。結果として 「PDF生成は成功するのに印刷所では読み込めない」 という非常にやっかいな状態になることも。

対処のポイント

• Photoshop画像はレイヤー統合してJPEGなどで書き出し軽量化
• 配置画像は適正サイズにリサイズ
• Illustratorの「透明の分割・統合」で複雑な効果を整理
• “アートボード外の不要物削除”を徹底

トンボや塗り足し不足による入稿不可

これは入稿データとしてよくあるミスです。仕上がりサイズぴったりのPDFを作ってしまうと、印刷所によっては入稿NGになります。とくに 断ち切りデザイン（紙の端まで色がある） の場合、塗り足しが必須です。

四方３mmの塗りたしは必ずつけましょう。

※イシダ印刷の場合はトンボ不要ですが、塗り足しは必要です。

トンボの意味、印刷データにトンボは必要？【入稿方法】

PDF規格（X-1a/X-4）の違いによるエラー

PDFにはさまざまな規格が存在し、印刷所が最も推奨するのは PDF/X-1a です。

X-1aが推奨される理由

• 透明効果をフラット化してから書き出すため、出力が安定
• カラープロファイルもCMYKに限定され、色ブレが少ない
• 印刷所のRIP（出力機器）との相性がよい

逆に“入稿できない原因”になりやすいのがX-4

• 透明効果を保持したままPDF化される
• 印刷所の環境によっては透明の解釈が異なり、
  • 文字の欠け
  • オブジェクトの変形
  • 不自然な色変換
    などの“意図しない事故”を起こす

特にIllustratorで書き出す際、デフォルトがPDF/X-4 になっている場合があるので注意が必要です。

フォントの埋め込みエラー・Illustrator特有のトラブル

• 埋め込み禁止フォントを使っておりPDF生成時に自動置換
• Illustratorでは正常に見えるのに、PDF化の瞬間に文字化け
• フォント情報が壊れてアウトライン化しないと入稿不可に

さらにIllustratorには次のような“予期せぬエラー”もあります。

• 古いバージョンで作ったaiを最新バージョンで開くとアピアランスが崩れる
• アートボードのサイズが正確でないためPDFの仕上がりサイズがズレて入稿不可
• リンク画像のパスが切れており、PDF化すると自動的に画像が消える
• 透明のフラット化処理でオブジェクトが勝手にラスタライズされる

これらは見た目だけで判断できず、PDF化して初めて問題が表面化するケースが多いのが特徴です。

まとめ

PDFが「入稿できない」原因は、容量・規格・フォント・塗り足しなど多岐にわたりますが、「余計なデータはレイアウトから削除する」「画像の形式を整える」「使用フォントの性質を確認する」だけでかなりエラーを防ぐことができます。

 

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