リバーシブル本とは?製本の仕組みや背文字の向きをそろえる方法
卒業アルバム以外の無線綴じなどは引き続き承っております。
リバーシブル本とは?

本というものは、それが右綴じであれ左綴じであれ、1ページ目から最後のページまで一方向に読みすすめて終わるのが当たり前ですが、2つの物語が本の真ん中で終わるリバーシブルな本を作ることも可能です。
リバーシブル本は表1側(おもて表紙側)から始まる文章と、表4側(うら表紙側)から始まる文章で構成され、両方向からそれぞれ読み進められるように製本します。両面が表紙となり、表1側と表4側で文字やイラストの向きを天地逆にして印刷します。
リバーシブル本の難点「背表紙の背文字の向き」
表1と表4の天地が逆さになっているリバーシブル本ですが、背表紙の背文字はリバーシブルになっていないことが多いのです。たとえば上記画像では、表4側からみれば背文字の天地が逆になってしまいます。背文字を横書きにしても、完全に両立させることはできません。
いっそのこと背文字がない方が見た目がすっきりしていいでしょう。しかし、中綴じや薄い冊子ならともかく、無線綴じでそれなりに背幅のある書籍であれば、背文字を付けたいところ。
そこで今回は、この難題を意外な方法で解決している1冊の本を紹介します。
【実例】リバーシブル本の背文字問題を解決している本
『abさんご』(黒田夏子/文藝春秋)は、横書きで書かれた小説として初めて芥川賞を受賞しました。
横書きの文章なので、左綴じで製本します。受賞作「abさんご」も左綴じで読むことができます。

リバーシブル本 表1側(左綴じ、横書き)
芥川賞受賞作品は受賞後の第一作と併せて一冊の本に収載されることが多いのですが、受賞作「abさんご」は黒田夏子さんの(50年前の)デビュー作「鞠」他2編と一緒にして出版されることになりました。
併録作品は縦書きで書かれているため、右綴じで製本して読む必要があります。これを「abさんご」の裏表紙側に持ってきたのが書籍『abさんご』です。
「abさんご」の横書き本文は表1側から左綴じで読み、併録する「鞠」他2編の縦書き本文は表4側から右綴じで読むことができるのです。

リバーシブル本 表4側(右綴じ、縦書き)
つまり、右綴じと左綴じを背中合わせにした両A面仕様の本になり、この製本であれば片側を天地を逆さに印刷する必要がなく、背文字の向きも違和感がありません。

リバーシブル本 背文字
『abさんご』は両方向からの作品がきれいに共存している珍しい本なのです。
このように印刷されたリバーシブル本は対訳本でよく見かける体裁ですが、小説ではとても新鮮に感じられます。また、「あとがき」ならぬ「なかがき」が中間ページに設けられていることもリバーシブル本ならではの趣向で、おもしろい試みだと思います。
リバーシブル本は手にとった人の印象に残りやすくなります。リバーシブル本の製本にご興味のある方は、印刷製本に精通した弊社スタッフにお問い合わせください。
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