PhotoCraft(Crafting Apps)とPhotoshopの違い|Photoshopの代わりになる?
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無料・オープンソースのPhotoCraft(Crafting Apps)は、Photoshopに近いメニューやショートカット、パネルを目指して開発されています。では、PhotoCraftがあればPhotoshopはいらなくなるのでしょうか。
答えは「現時点では難しい」です。レイヤーやマスク、CMYKなど、見慣れた機能は並んでいます。ただ、PDFの書き出し、PSDの互換性、生成AI、プラグイン、情報の多さでは、まだPhotoshopとの差が大きいのが実情です。
公開されているGitHubの資料を見ても、「一部対応」「未対応」とされている項目がまだ多く残っていました。2026年11月1日時点の最新版はv0.18.0です。短い期間で機能が増えていますが、位置づけはまだEarly alpha(初期の試験段階)です。
11月2日にはv0.19.0が出ました。公式スコアカードを見比べたところ、この記事で取り上げるPDF、生成AI、プラグインの項目は変わっていません。
ここでは、料金、互換性、印刷、サポートなどの違いを順に見ていきます。PSDの往復は、実際に試してみました。
※この記事は、公式の資料と、イシダ印刷で試したとき(2026年11月1日、macOS版のPhotoCraft 0.18.0・Photoshop 2026〔27.11.0〕)の結果をもとにしています。導入をおすすめするものではありません。PhotoCraftの操作や仕様についてのご相談は、お受けしていません。
PhotoCraftとPhotoshopの違い早見表
| 比較項目 | PhotoCraft | Photoshop |
|---|---|---|
| 料金 | 無料 | 有料プランが基本 |
| ライセンス | オープンソース(Apache License 2.0) | Adobeの商用ソフトウェア |
| 開発段階 | Early alpha | 長年運用されている製品版 |
| 基本編集 | レイヤー、マスク、調整、ブラシなどに対応 | 同種の機能に加え、高度な編集機能が充実 |
| PSD/PSB | 読み書きに対応するが、複雑なデータは往復して確かめる必要がある | 標準の作業形式 |
| 色管理 | RGB、CMYK、Lab、グレースケール、ICC、ソフトプルーフ | 同種の色管理に加え、実務ノウハウと検証環境が豊富 |
| 印刷用PDF | 1ページを画像化したPDFの保存まで。複数ページやベクターの文字は未完成 | 印刷制作での利用実績が多い。入稿先の条件に合わせた設定は必要 |
| 生成AI | 生成塗りつぶしなどの生成AI機能は未実装(公式GitHubの資料) | 生成塗りつぶしなどの機能を提供 |
| 自動化 | アクションの記録・再生、Photoshopのアクションファイル(.atn)の読み込みに対応。一括処理は一部未完成 | アクション、バッチ処理が充実 |
| プラグイン・連携 | フィルター型のプラグインのみ | 多数のプラグイン、他のAdobe製品との連携 |
| 情報・サポート | GitHubやDiscordが中心。日本語の情報は少ない | 公式サポート、書籍、講座、実務情報が豊富 |
料金とライセンスの違い
PhotoCraftは無料のオープンソースで、月額の契約はいりません。ソースコードはPhotoCraft公式GitHubで公開されています。
PhotoshopはAdobeの有料製品で、サブスクリプションが基本です。料金は時期やプランで変わるため、最新の金額はAdobe Photoshop公式サイトでご覧ください。
費用だけなら、PhotoCraftに分があります。ただ、仕事で使うとなると話は別です。作業時間、互換性、トラブルのときの対応まで含めて考える必要があります。
画面は似ていても、完成度までは同じではない
PhotoCraft公式ページでは、使い慣れたメニュー、ショートカット、パネル、ツールを意識した作りがうたわれています。レイヤー、マスク、調整レイヤー、スマートオブジェクト、レイヤースタイルなど、Photoshopを使う人にはなじみのある考え方です。メニューやパネルは日本語でも表示できます。
とはいえ、画面や機能の名前が似ていても、処理の結果や細かな設定、動作の安定性まで同じとは限りません。PhotoCraftは更新が多く、バージョンによって動きが変わることもあります。
教材と画像集を作ってみた記録は、Crafting Appsで教材・画像集を作って分かった機能と注意点で紹介しています。
PSD/PSBの互換性の違い
Photoshopにとって、PSD/PSBは標準の作業形式です。PhotoCraftもレイヤー付きのPSD/PSBを読み書きでき、公式サイトでは実際のファイルを使った往復テストの結果も公開されています。
試したこと:画像と文字だけのPSDは、往復しても編集できた
用意したのは、PhotoCraft 0.18.0で作った、CMYKの画像と文字の2レイヤーだけのPSDです。これをPhotoshop 2026(27.11.0)との間で往復させてみました。
- PhotoCraftで作ったPSDをPhotoshopで開くと、テキストレイヤーの更新を求める通知が出た
- 更新して文字を直し、別名で保存した
- そのPSDをPhotoCraftで開くと、同じ文字レイヤーとして編集し直せた
保存した3つのPSDで、背景画像の画素データも一致しています。ただし、試したのは画像と文字だけの簡単なデータです。
注意したいPSDの中身
すべてのPSDが同じように開けるとは限りません。次の要素を含むデータは、とくに注意が必要です。
- 特殊な文字設定や、使用環境にないフォント
- Photoshop固有の調整レイヤー、スマートフィルター、レイヤースタイル
- リンクされたスマートオブジェクト
- プラグイン固有の効果
- 追加チャンネルや、複雑なカラーモード
往復を試すなら、原本は上書きせず、コピーを使うのが無難です。
印刷・カラーマネジメントの違い
どちらも、RGB、CMYK、Lab、グレースケールやICCプロファイルを扱えます。PhotoCraftにはソフトプルーフもあり、CMYKの画像を作って印刷時の色の変化を画面で見る、基本の機能はそろっています。
ただ、印刷用のデータ作りで問われるのは、機能があるかどうかだけではありません。書き出した結果、他のアプリケーションとの連携、PDFの規格、校正の手順まで関わってきます。
PhotoCraftの現行スコアカードでは、次の項目がまだ未完成です。
- 複数ページのPDF
- PDF内の文字をベクターのまま残すこと
印刷用の画像をどこまで作れるかは、PhotoCraft(Crafting Apps)で印刷データは作れる?で試しています。色の変換の基本は、RGBからCMYKに変換する方法をご覧ください。
AI・自動化・プラグインの違い
AI:被写体の選択はあるが、生成AIの機能はまだない
PhotoCraftの公式ページでは、被写体や物の選択を端末の中で行う機能が案内されています。
一方、公式GitHubの資料によると、生成塗りつぶしや生成拡張といった生成AIの機能は未実装です。Photoshopのように、AIで画像を描き足すことは、今のところできません。
自動化:アクションは使える。一括処理は一部が未完成
アクションの記録・再生と、Photoshopのアクションファイル(.atn)の読み込みは実装済みです。一括処理(バッチ)は、まだ一部が未完成のままです。
プラグイン:フィルター型のものだけ
使えるプラグインは、フィルター型のものに限られます。
Photoshopなら、生成塗りつぶしなどのAI機能、アクションやバッチ処理、多数のプラグインがそろっています。IllustratorやInDesignとの連携もできます。大量の画像を同じ条件で処理する、決まった制作工程に組み込む、複雑な修整を短い時間で済ませる。こうした場面で差が出やすいところです。
情報量とトラブル対応の違い
Photoshopには、Adobeの公式サポートや解説書、講座、制作会社や印刷会社のノウハウが積み重なっています。同じトラブルに出会った人も多く、解決方法を探しやすい環境です。
PhotoCraftの情報源は、公式サイト、GitHub、Discordが中心です。日本語の解説は、まだ多くありません。不具合が出たときは、リリースノートやIssuesを自分で調べ、どの操作で起きるのかを切り分けることになります。
これから画像編集を覚える人にとって、無料であることが、そのまま覚えやすさにつながるとは限りません。
現時点でPhotoshopでないと難しいこと
比べてみると、今のPhotoCraftでは難しい作業がはっきりしてきます。
- 締め切りのある制作で、トラブルのときの支援や代わりの手段がいる
- 取引先や共同作業者と、PSDを確実にやり取りする
- 生成AI、多数のプラグイン、バッチ処理を使う
- IllustratorやInDesignなど、他のAdobe製品と組み合わせて作業する
- 複雑なレイヤーを含むデータを、崩さずに扱う
PhotoCraftで試せるのは、費用をかけずに、レイヤーやマスクを使った画像編集に触れてみる範囲までです。
Photoshopで印刷用データを保存するときの形式は、Photoshopの印刷用の保存形式はどれが正解かも参考になります。
まとめ
比べてみると、PhotoCraftは無料・オープンソースで、Photoshopに近い操作と、レイヤー、マスク、CMYK、ICC、PSD/PSBなどの機能を備えていました。その一方で、まだEarly alphaで、次の点ではPhotoshopとの差が残っています。
- PSDの互換性
- PDFの書き出し
- 生成AIとプラグイン
- 情報量と、仕事で使うときの安定性
冒頭で「現時点では難しい」としたのは、こうした差があるためです。
PhotoCraftは更新の多いアプリケーションです。今回比べてみた内容も、今後開発が進んでバージョンが上がれば、変わっていく可能性があります。
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